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2019年1月17日

新規インフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」
新しいインフルエンザ治療薬のゾフルーザが2018年3月にシオノギ製薬より発売となり、今シーズンから本格的に使用されるようになりました。

これまでは、内服薬のタミフル(1日2回、5日間経口投与)、吸入薬のリレンザ(1日2回、5日間吸入)とイナビル(単回吸入投与)、注射薬のラピアクタ(単回点滴静注)の4種類のお薬が主にインフルエンザの治療に使われてきました。これらのお薬はいずれもノイラミニダーザ阻害薬と呼ばれ、感染細胞からのインフルエンザウイルスの放出に必要なノイラミニダーゼを抑えることで、細胞内で増殖したウイルスが細胞外に広がるのを防ぐ働きをします。

一方、ゾフルーザはキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬と呼ばれ、細胞内でのウイルスの増殖自体を抑える仕組みを持っており、効果がより早く現れるとされています。しかしながら、ゾフルーザを服用した際のインフルエンザウイルスのアミノ酸変異(耐性)の出現率がノイラミニダーゼ阻害薬に比べて高いとの報告もあり、注意が必要です。

ゾフルーザは1回だけ内服するお薬ですが、年齢と体重によって投与量が変わります。成人と12歳以上の小児は20mg錠を2錠、体重80kg以上の方は20mg錠を4錠服用します。12歳未満の小児の場合は、体重40kg以上の方は20mg錠を2錠、20kg以上40kg未満の方は20mg錠を1錠、10kg以上20kg未満の方は10mg錠を1錠服用します。今後ゾフルーザの顆粒製剤も使えるようになる予定です。また、症状発現後できるだけ速やかに投与を開始することが望ましく、症状が出てから48時間以上経過後に服用した場合の有効性ははっきりしていません。

インフルエンザ治療薬の服用の有無や種類にかかわらず、インフルエンザにかかった時には、異常行動を発現した例が報告されており、少なくとも発熱から2日間は転落などの事故に対する防止対策が重要です。特に就学以降の小児・未成年者の男性で転落などの事故に至るおそれのある重度の異常行動の報告が多いことが知られており、特に注意が必要です。