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2018年8月5日

亜鉛欠乏症
亜鉛は、体のさまざまな機能を維持していくために必要不可欠なミネラルです。亜鉛濃度が高い臓器は、筋肉、骨、皮膚・毛髪、肝臓などで、亜鉛が不足すると、皮膚炎、口内炎、脱毛、貧血、傷が治りにくい、食欲がない、元気がない、味が分からない、子どもさんでは体重の増えや身長の伸びが悪いといった症状が現れることがあります。また、血液検査でのALP低値も亜鉛が不足していることを疑う指標になりますが、血清ALP値は年齢により基準値が異なるため注意が必要です。

亜鉛の推奨摂取量は男性で1日10mg、女性で1日8mgとされていますが、男女ともに実際の摂取量はやや少なく、不足気味です。亜鉛を含む食品としては、牡蠣、牛肉、納豆などが挙げられます。

症状などから亜鉛欠乏症が疑われる場合には、血清亜鉛値を測定します。血清亜鉛値には日内変動があり、午前中は高く、午後には約20%低下すると言われています。また、食後にも低下するため、血清亜鉛値を測定する際は、早朝空腹時に採血をする必要があります。

亜鉛欠乏症と診断されたら、亜鉛の補充による治療を行います。亜鉛の内服を開始すると、皮膚炎は1週間程度、低身長は1~3ヶ月程度で改善します。症状が改善して、血清亜鉛値が基準範囲内になれば、5~6ヶ月で亜鉛の内服を一旦中止して経過をみていくことになります。亜鉛内服の副作用としては、吐き気や腹痛などの消化器症状、銅欠乏による貧血や白血球減少、鉄欠乏性貧血などがあり、亜鉛内服中は数ヶ月に1回程度の定期的な血液検査が必要です。

食生活に偏りのある方や慢性肝炎・糖尿病・クローン病・慢性腎臓病で治療中の方、関節リウマチやパーキンソン病などのお薬を飲んでいる方、妊娠中や授乳中の方、激しいスポーツをされている方、子どもさんで発育不良がある方などは亜鉛が不足しているかもしれません。味覚異常、皮膚炎、食欲低下、脱毛、発育不良などの症状が気になる方は、お気軽にご相談下さい。