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2018年1月19日

ロタウイルス胃腸炎とワクチン
ロタウイルス胃腸炎は、乳幼児に多くみられる疾患で、2日程度の潜伏期間の後、水様性下痢、発熱、腹痛、嘔吐が3~7日間続きます。発症は5歳未満のお子さんが大半を占めていますが、大人の方でも発症する場合があります。ロタウイルス胃腸炎の特徴としては、重症の脱水を引き起こし、ときに命にかかわることもあります。特異的な治療はなく、経口補液や点滴などにより適切な水分補給を行って脱水にならないようにすることが重要です。

ロタウイルスは何度でも感染を繰り返しますが、ロタウイルス胃腸炎は初感染時に重症化することが知られており、ワクチンで重症ロタウイルス胃腸炎を予防することが大切です。

ロタウイルスワクチンには、1価(ロタリックス)と5価(ロタテック)の2種類のワクチンがあります。ヒトのロタウイルス胃腸炎の原因となるロタウイルスには主に5つの血清型(G1、G2、G3、G4、G9)があります。ロタリックスはもっとも一般的なG1に対するワクチンですが、他の血清型(G2、G3、G4、G9)に対しても予防効果があります。ロタテックは、世界中で検出されている主要な5種類の血清型を考慮したG1P[8]、G2P[4]、G3P[8]、G4P[8]、G9P[8]に対するワクチンです。ロタリックスは6週齢から初回接種を開始し、4週以上の間隔をおいて、24週齢までの間に2回接種、ロタテックは6週齢から初回接種を開始し、4週以上の間隔をおいて、32週齢までの間に3回接種しますが、いずれも経口での接種となります。

ロタウイルスワクチンを接種してから1週間程度は便の中にワクチンウイルスが排泄されます。このウイルスによって周りの方が感染して胃腸炎を発症する可能性は低いと考えられますが、おむつ交換後に十分な手洗いをする等の注意は必要です。また、初回接種後1週間以内に腸重積症のリスクが増加することが分かっており、ぐったりして顔色が悪くなる、泣いたり不機嫌になったりを繰り返す、嘔吐を繰り返す、イチゴゼリー状の血便が出る、などの症状に注意が必要ですが、ロタウイルスによる重症胃腸炎を予防する利点の方が大きいと考えられています。