2016年10月16日
帯状疱疹は水痘(水ぼうそう)と同じ、水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus:VZV)によって起こる疾患です。子どもの頃に初めてこのウイルスに感染した時は水ぼうそうとして発症しますが、治った後もウイルスは体の中に潜んでいます。普段は免疫の働きにより活動が抑えられていますが、加齢やストレスなどで免疫力が低下するとウイルスが再活性化して帯状疱疹を発症します。症状としては、体の左右どちらかに水ぶくれを伴う赤い発疹が帯状に出て、強い痛みが出ることが多く、3~4週間ほど続きます。80歳までに日本人のおよそ3人に1人がかかる身近な病気で、50歳以上の方が約7割を占めています。
帯状疱疹は急性期の痛みだけではなく、皮疹が治った後も長期に痛みが持続する帯状疱疹後神経痛(postherpetic neuralgia:PHN)に移行することもあります。PHNでは帯状疱疹を発症してから3~6ヶ月以上経過しても痛みが続き、50歳以上の方の約20%がPHNへ移行すると言われています。また、角膜炎などによる視力低下や難聴、耳鳴り、めまいなどの後遺症が残ることもあります。
50歳以上の方は帯状疱疹を予防する目的で、水ぼうそうの予防にも使われている水痘ワクチンを接種することができます。海外のデータでは、ワクチン接種により帯状疱疹発症率を51.3%、PHN発症率を66.5%減少させることができ、接種後5年間の発症予防効果がみられています。水痘ワクチンは生ワクチンのため、他のワクチンを接種する場合は、27日以上間隔をあける必要がありますが、インフルエンザワクチンや成人用肺炎球菌ワクチンなどの他のワクチンと同時に接種することもできます。