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2016年1月19日

狂犬病ワクチン
狂犬病は代表的なウイルス性人獣共通感染症の一つであり、狂犬病に罹患したイヌ、キツネ、コウモリなどに咬まれることにより感染します。一度発病した狂犬病に対する有効な治療法は確立されておらず、発病するとほぼ100%死亡すること、潜伏期間が1~3ヶ月と長いことが狂犬病の臨床的特徴です。しかしながら、狂犬病に罹患した動物に咬まれた後、ただちに狂犬病ワクチンを繰り返し接種することにより狂犬病の発病を予防することができます。世界保健機構(WHO)は狂犬病常在地で狂犬病危険動物(イヌ、ネコ、アライグマ、スカンク、コウモリなど)に咬まれた時は、①水と石鹸で傷口を十分洗う、②アルコールやポピドンヨードなどの消毒液で消毒する、③組織培養不活化狂犬病ワクチンの接種と抗狂犬病免疫グロブリンの注射をすることを勧告しています。

狂犬病常在地に長期滞在または旅行する方には、動物に咬まれる前に狂犬病ワクチンを接種する曝露前免疫も行われています。国産狂犬病ワクチンの曝露前接種方式は、0日、1ヶ月、6ヶ月の3回接種となりますが、出国までに0日と1ヶ月の2回接種を済ませておけば、狂犬病常在地でイヌやネコなど狂犬病危険動物に咬まれた後、ただちに狂犬病ワクチンを接種すれば短期間で狂犬病ウイルスに対する抗体産生がみられ、より高い発病予防効果が得られると考えられています。

小児でも狂犬病常在地に長期間滞在する場合には、狂犬病ワクチンによる曝露前免疫の実施が望ましいと考えられます。国産狂犬病ワクチンの接種量は、年齢によらず1.0mlと定められています。小児に狂犬病ワクチンを規定量の1.0ml接種しても接種部位の発赤腫脹以外に重大な有害事象はみられませんが、ときに発熱することがあります。

狂犬病ワクチンと他のワクチンとの同時接種は実施可能です。出国までに時間的余裕が十分にない方には、必要なワクチン接種を短期間で済ませるために、同時接種は非常に有用な接種法となります。

当院では狂犬病ワクチンの接種も行っておりますので、ご希望の方はお電話にてご連絡の上、診察時間内にお越しください。