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2015年4月25日
DPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬
糖尿病の内服治療薬であるDPP-4阻害薬は注射薬のGLP-1受容体作動薬とともにインクレチン関連薬と呼ばれ、低血糖や体重増加の心配の少ないお薬です。
インクレチンとはGLP-1やGIPといった消化管ホルモンのことで、食事を摂取すると小腸などから分泌され、膵臓からのインスリン(血糖値を下げるホルモン)の分泌を増やしたり、グルカゴン(血糖値を上げるホルモン)の分泌を減らすことにより血糖値を下げる働きをします。インクレチンは血糖値が高いときのみ効果を発揮するため低血糖が起きにくいと言われています。
DPP-4阻害薬はインクレチンを分解する酵素であるDPP-4の働きを阻害することにより血糖値を低下させます。DPP-4阻害薬には『ジャヌビア』『グラクティブ』『エクア』『ネシーナ』『トラゼンタ』『テネリア』『スイニー』『オングリザ』といったお薬があります。
SGLT(Sodium GLucose co-Transporter)はブドウ糖やナトリウムなどを細胞の中に取り込む働きをするタンパク質で、さまざまな種類(サブタイプ)が存在します。SGLTは腎臓、小腸、骨格筋、心筋などに発現していますが、SGLT2は腎臓の近位尿細管に局在し尿中のブドウ糖を細胞内に取り込む役割を担っています。
糖尿病の新しい治療薬であるSGLT2阻害薬は、腎臓でのSGLT2の働きを阻害してブドウ糖の細胞内への取り込みを減少させ、尿へのブドウ糖の排泄を増加させることにより血糖値を低下させるお薬です。SGLT2阻害薬は過剰なブドウ糖を尿中へ排泄させるため体重減少が期待でき、低血糖の心配も少ないというメリットがありますが、尿量が増えることによる脱水症状や、尿糖が増えることによる膀胱炎などの尿路感染症に注意が必要です。
SGLT2阻害薬には『スーグラ』『フォシーガ』『ルセフィ』『アプルウェイ』『デベルザ』『カナグル』『ジャディアンス』といったお薬があります。これらのお薬は新薬のため1回の処方日数が14日分までに制限されていますが、2015年5月より処方日数制限が順次解除されるため、今後は使用する頻度が増えていくものと考えられます。
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