私たちの生活に浸透しつつあるAI(Artificial Intelligence:人工知能)は急速なスピードで進化を遂げており、医療においても多くの分野で開発が進んでいます。特にレントゲンやエコー、MRIなどの画像診断ではAIの実用化が最も早いと考えられており、画像の自動撮影や医師の読影・診断支援による検査・診断の効率化や診断の質の向上などが期待されています。
胸部X線検査は撮影が簡便なため、咳、痰、胸の痛み、息苦しさといった症状の原因検索や健康診断などで一般的に利用されていますが、限られた時間の中で数多くの画像を読影しなければならないため、医師の負担が大きくなっています。
当院では、AI技術により医師の読影をサポートする胸部X線画像診断支援ソフトウェアを導入し、日常診療で活用しています。AIを利用することによる特別な費用が発生することはなく、1画像あたり20秒ほどでAI診断が可能となっています。多くの画像を学習したAIによる解析を行うことで、肺がんが疑われる所見である結節影や、肺炎や結核など感染症の所見である浸潤影の見落とし防止や確信度の向上といった効果が期待できます。また、限られた時間で多くの胸部X線画像の読影を行う必要のある健康診断においても有用と考えられます。